過度な減量で本当に抜け毛は増えるのか

答えは「ありえます」です。急激な減量は短期間に体へ明らかなストレスをかけます。カロリー、たんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミン B 群、ビタミン D が不足すると、体は心臓、脳、肝臓などの働きを優先し、髪の成長は生命維持の優先事項ではないため、毛包が一時的に休止期へ入って抜け毛が増えます。

次のような状況でよくみられます。

  • 短期間に大幅に体重を落とした。
  • 長期の低カロリー食。
  • 炭水化物・肉・脂質をいっさいとらない。
  • 単一食品のダイエット。
  • 長時間の断食。
  • 減量中のストレス過多と睡眠不足。
  • 減量後の月経不順や無月経。
過度な食事制限と極端な低カロリー食は毛包を早めに休止期へ入らせうる

髪が育つには十分な栄養が要る

髪の成長には十分な栄養、とくにたんぱく質と微量栄養素が必要です。減量中に食事を過度に制限すると、体重は落ちても毛包に必要な養分が届かなくなることがあります。

たんぱく質の不足:髪の主成分はケラチンで、減量中にたんぱく質が足りないと毛包の健康に影響し、毛が細くもろくなり、抜け毛が増えることがあります。良質なたんぱく質源には卵、魚、鶏肉、豆腐、豆乳、牛乳、ヨーグルトなどがあります。

鉄の不足:鉄は血液が酸素を運ぶ力に関わるため、不足すると毛包に届く酸素と栄養が減り、髪の成長に影響しえます。女性、長期の食事制限をしている方、月経量が多い方は鉄が不足しやすくなります。

亜鉛とビタミンの不足:亜鉛、ビタミン B 群、ビタミン D はいずれも頭皮の健康、毛包の代謝、毛周期に関わります。食事が偏りすぎるとこれらが不足し、抜け毛のリスクが上がります。

毛包が育つには十分なたんぱく質と微量栄養素が必要

過度な減量とストレス性の脱毛

急激な減量は栄養の問題だけでなく、体へのストレスにもなりえます。低カロリー、睡眠不足、強い心理的ストレスが長く続くと、毛周期に影響することがあります。

髪はふつう成長期、退行期、休止期をたどります。体がストレスを受けると、より多くの毛が早めに休止期へ入り、数週間から数か月後に大量の抜け毛が起こります。これが休止期脱毛で、ストレス性の脱毛とも呼ばれます。

  • 洗髪時の抜け毛が明らかに増える。
  • 枕や床の抜け毛が増える。
  • 全体の毛量が薄くなる。
  • 分け目が広がる。
  • ふつうは部分的な脱毛斑ではなく、全体的な抜け毛。
低カロリー、睡眠不足、ストレスはいずれも毛周期に影響する

過度な減量はホルモンも乱しうる

過度な減量はホルモンにも影響しえます。とくに女性でよくみられ、体脂肪が低すぎたりカロリーが不足したりすると、体は生殖に関わるホルモンの働きを下げ、月経不順、遅れ、さらには無月経に至ることがあります。エストロゲンは髪の健康と関係するため、ホルモンが大きく変われば髪の状態にも影響しえます。

男性でも、過度な減量、栄養不足、トレーニングによるストレスが強すぎる場合は、全体のホルモンと代謝に影響し、髪の健康が左右されることがあります。

  • 月経量が減る、周期が不規則になる。
  • 無月経。
  • だるさ、寒がり。
  • 抜け毛の増加。
  • 皮膚の乾燥。

減量後に月経の変化と抜け毛が同時に出ている場合は、髪だけを扱うのではなく、体脂肪とカロリー摂取が低すぎないかもあわせて評価してください。

減量後の抜け毛はいつ回復する?

減量後の抜け毛が主に栄養不足やストレス性の休止期脱毛によるものであれば、食事、生活リズム、栄養状態が改善すれば、多くの方は徐々に回復する見込みがあります。

ただ髪の成長は遅いため、ふつう数か月の観察が必要です。抜け毛が 3〜6 か月以上続く、毛量が明らかに減る、地肌がどんどん目立つ、あるいは男性型・女性型脱毛症、甲状腺の問題、貧血などがある場合は、早めに受診してください。

毛髪の成長期・退行期・休止期

減量による抜け毛はどう防ぐ?

要点は、できるだけ食べないことではなく、カロリーを管理しながら十分なたんぱく質とバランスのよい栄養を保つことです。

予防の方法説明
バランスのよい食事減量中でも十分なたんぱく質、野菜、良質な脂質、適量の炭水化物をとり、栄養の偏りを避ける。
極端な減量を避ける長期の極端な低カロリー食、単一食品のダイエット、過度な断食、急激な減量は勧められない。
たんぱく質を十分に髪はたんぱく質を材料に育つため、減量中はとくに 1 日の摂取量に注意する。
鉄・亜鉛・ビタミン D を確認抜け毛が明らかなら、栄養状態の血液検査が必要か医師に評価してもらう。
ストレスの管理睡眠不足、精神的ストレス、過度な運動はいずれも抜け毛を強めうる。
規則正しい生活夜更かしと過労は体の修復に影響し、頭皮と毛包の健康にも影響しうる。
専門家に相談する抜け毛が増え続けるなら、育毛製品を自己判断で買うのではなく、まず原因を突き止める。

もう抜けはじめているときは?

減量後にすでに明らかな抜け毛が出ている場合は、次の方向から調整してみてください。

  • 減量のしかたが過度でないか見直す:体重が短期間に落ちすぎている、1 日のカロリーが低すぎるなら、計画を組み直してください。健康的な減量は、安定して長く続けられることが原則です。
  • たんぱく質と栄養を増やす:減量は栄養不足になるまで食べないことではありません。毎食に良質なたんぱく質を入れ、野菜、全粒穀物、適量の良質な脂質を合わせてください。
  • 貧血や栄養不足がないか調べる:だるさ、めまい、顔色の悪さ、月経の異常、爪がもろいといった状況があれば、フェリチン、ヘモグロビン、亜鉛、ビタミン D、甲状腺機能の検査が必要か医師に評価してもらいましょう。
  • 高用量のサプリを自己判断でとらない:抜け毛は単一の栄養素不足によるとは限らず、とりすぎも体の負担になります。不足が疑われるなら、まず医師の評価を受けてから決めてください。
  • ほかの脱毛の併発を早めに見分ける:減量は休止期脱毛を誘発しますが、もともと潜在していた男性型・女性型脱毛症を目立たせることもあります。分け目が広がる、生え際が後退するなら、毛包の状態をさらに調べてください。
減量後に頭頂部の地肌が目立つようになったら毛包の状態を調べる

医師から:速い減量より健康的な減量を

過度な減量は確かに抜け毛を招きえます。主に栄養不良、体へのストレスの増加、ホルモンの乱れ、休止期脱毛が関わります。髪に影響を出さずに減量する鍵は、できるだけ食べないことではなく、カロリーを管理しながら十分なたんぱく質とバランスのよい栄養を保つことです。

減量後に大量の抜け毛、毛量の減少、地肌がはっきり見えるといった状況があれば、シャンプーやサプリメントだけに頼らず、まず原因を突き止めてください。頭皮と毛包の検査、栄養状態の評価、生活習慣の調整が、改善につながります。

  • 抜け毛は減量から 1〜3 か月遅れて出るので、振り返るときは前にさかのぼって考えてください。
  • 単なる休止期脱毛か、減量で潜在していた脱毛症が目立ったのかをまず確認します。
  • サプリメントは、本当に不足しているかを確かめてから。とりすぎにもリスクがあります。