女性の薄毛によくある七つの原因

女性の薄毛は原因がひとつとは限りません。次の表は臨床でよくみる七つのタイプと、それぞれの見分け方です。あくまで初期の見当で、どれに当たるかは医師の診察で判断します。

タイプ説明よくある特徴
女性型脱毛症遺伝とホルモンに対する毛包の感受性が関わり、前頭部と頭頂部の毛量が徐々に減っていきます。分け目が広がり、いわゆるクリスマスツリー型に薄くなる
産後の抜け毛妊娠中のホルモン変化で成長期が延び、産後にホルモンが急に下がると目立つ抜け毛が起こります。産後数か月で出現し、ふつうは徐々に回復する
慢性休止期脱毛ストレス、生活の変化、慢性疾患、体調の変化などにより、大量の抜け毛が続きます。抜け毛が明らかに増え、全体の毛量が減る
鉄欠乏による抜け毛鉄が足りないと毛包の正常な成長に影響します。月経量が多い方、産後、栄養が不足している方に多くみられます。だるさや貧血を伴うことが多く、毛が細く少なくなりやすい
多嚢胞性卵巣症候群内分泌のバランスが崩れてアンドロゲンが高くなり、毛包の健康に影響します。ニキビ、月経不順、体重増加を伴うことがある
閉経後の抜け毛閉経後にエストロゲンが下がり、毛包が受ける保護が減って毛が細くなりやすくなります。頭頂部が薄くなり、毛が細くなって全体のボリュームが落ちる
びまん性円形脱毛症一般的な部分的円形脱毛症とは異なり、全体的に毛が細くなり短期間に大量に抜けることが多いタイプです。抜けるのが速く、女性型脱毛症との区別が必要

この表は初期の理解のためのもので、診察の代わりにはなりません。複数の原因が同時にあることも珍しくなく、どれに当たるかは皮膚科専門医の診察で判断します。

女性と男性の薄毛の出かたの比較

女性の抜け毛を招くよくある要因

上の分類のほかにも、日常生活には抜け毛を強める要因がいくつもあります。女性の薄毛はひとつの原因だけということは少なく、複数が重なって起こることのほうが多いものです。

  • 遺伝的な体質。
  • 出産後のホルモンの変化。
  • 疾患の影響。甲状腺機能低下症、全身性エリテマトーデス、頭部白癬など。
  • 過度なダイエットや偏った栄養。
  • 長期の過労と強い精神的ストレス。
  • 長時間きつく髪を結ぶこと。
  • 頻繁なカラー、パーマ、スタイリング。
  • 長時間の日光曝露。
  • 長時間の帽子やヘルメットの着用。
  • 頭皮の異常な皮脂分泌や炎症。
ブラシにいつもより多くの毛がついているのに気づく

女性の薄毛の前ぶれは?

女性の薄毛はたいてい少しずつ進みます。次のような状況は早期のサインでありうるため、注意してください。

  • 2 か月以上続けて、1 日の抜け毛が 100 本を超える。
  • フケが明らかに増え、頭皮のかゆみを伴う。
  • 頭皮の皮脂分泌が増え、髪がべたつきやすい。
  • 毛が明らかに細くなり、毛量が徐々に減っている。
  • 家族に毛量が少ない、あるいは薄毛の方がいる。
  • とかす、洗うときに毛がごっそり抜ける。
  • 毛量が減って地肌がはっきり見える。
  • 分け目がどんどん広がり、頭頂部のボリュームが落ちる。
ダーモスコピーで頭皮を診察する皮膚科専門医

女性の抜け毛はどう予防する?

予防の要点は、毛包への妨げを減らし、髪の成長に必要な栄養を満たすことです。次の表は日常で先に調整できる方向です。

項目ポイント具体的にできること
刺激の強い食事を控える辛いもの、酸味の強いもの、カフェインの多い飲み物は頭皮を刺激し、睡眠と生活リズムにも影響しえます。辛い料理、濃いお茶、コーヒー、刺激の強い飲料をとりすぎない。食事はあっさりバランスよく。
ストレスと不安を減らす長期のストレスは毛包の成長周期を乱し、抜け毛を目立たせることがあります。適度にリラックスし、定期的に運動し、気分転換の習慣をもち、情緒を安定させる。
規則正しい生活夜更かし、睡眠不足、不規則な生活は抜け毛を強めがちです。できるだけ就寝時間を一定にし、長期の夜更かしを避けて、体の修復機能を保つ。
合うシャンプーを選ぶ洗浄力が強すぎる、あるいはアルカリ寄りのシャンプーは、頭皮を乾燥・敏感にし、毛をもろくすることがあります。頭皮の性質に合ったやさしいシャンプーを選び、洗いすぎを避ける。
たんぱく質を十分にとる髪は主にたんぱく質でできており、不足すると毛の状態に影響しえます。低脂肪乳、卵、白身の肉、魚介類などの良質なたんぱく質を意識してとる。
脂っこいものを控える高脂肪の食事は皮脂分泌を増やし、頭皮環境と毛包の健康に影響しえます。揚げ物、高脂肪、味の濃い食事を減らし、頭皮を落ち着いた状態に保つ。
たばこと酒を控えるたばこと酒は頭皮の微小循環に影響し、毛包の正常な成長に不利に働きえます。喫煙と飲酒の頻度を減らし、長期の過剰を避ける。
鉄と栄養に気をつける鉄欠乏は抜け毛と関係しうるもので、月経量が多い方、産後、栄養が不足している方に多くみられます。レバー、ほうれん草、貝類など鉄を含む食品を適量とり、必要なら医師に評価してもらう。

以上は日常のケアであって治療ではありません。すでに抜け毛が強まっている場合は、生活を整えると同時に受診して原因を確かめてください。

毛包を傷める民間療法は避けましょう

抜け毛の民間療法は数多く出回っており、頭皮に生姜、唐辛子、歯みがき粉、さらには経口避妊薬を塗るといったものまであります。これらは改善につながらないばかりか、頭皮を刺激して炎症を起こし、ひどい場合には毛包を傷めて抜け毛を悪化させることがあります。

すでに抜け毛が続いている、毛が細くなった、分け目が広がった、地肌がはっきり見えるという状況なら、自分で民間療法を試すより、医師に原因を調べてもらうほうがずっと有効です。

根拠のない民間療法ではなく、やさしい日々のヘアケアを

どんなときに受診すべき?

次のような場合は、できるだけ早く皮膚科専門医の評価を受けることをおすすめします。

  • 抜け毛が急に大幅に増えた。
  • 分け目がどんどん広がり、頭頂部の薄さが目立つ。
  • 抜け毛が 2〜3 か月以上続いている。
  • 月経不順、ニキビの増加、体重の変化など内分泌の症状を伴う。
  • だるさ、めまい、貧血、あるいは甲状腺の異常が疑われる。
  • 短期間で全体の毛量が明らかに減った。

医師はダーモスコピーで毛包の密度と毛径の変化をみて、病歴に応じて血液検査の要否を判断します。すべての方に一式の検査が必要なわけではありません。

皮膚科専門医から

女性の薄毛には多くの原因があり、遺伝やホルモンの変化から、ストレス、栄養、疾患まで、いずれも毛包の健康に影響しえます。女性にとって薄毛は見た目だけの問題ではなく、自信や生活の質にも関わることがしばしばです。

抜け毛が増えた、毛量が薄くなった、分け目が広がったと感じたら、隠すことや民間療法で済ませず、早めに本当の原因を突き止めるほうが改善につながります。

  • まずどのタイプかを見分け、そのうえで生活習慣、栄養、投薬のどれで対応するかを決めること。
  • 月経量が多い、産後、菜食、急激な減量といったことは鉄と関係するので、医師に伝えてください。
  • 同じ条件で撮ったダーモスコピー画像で追うほうが、印象で判断するよりずっと正確です。